高度救命救急センター

Advanced Emergency and Critical Care Center

外傷診療

当センターの目指す
外傷診療体制

当センターではドクターヘリによる病院前診療から、当科外科医によるDamage Control Surgeryを含むAcute Care Surgeryの実践、当科集中治療医によるDamage Control Resucitation含む外科的集中治療の実践、そして各科専門医(脳外、整形、IVRなど)による根本的治療と、重症外傷への迅速かつシームレスな対応を目指しています。
特にドクターヘリでは愛知県全域の重症症例、特に重症外傷に対応し現場からの積極的な治療介入(蘇生的開胸術やトラネキサム酸投与など)を行っています。ERでは当科救急医による初療対応に続き、体幹外傷の手術症例は当科外科医が術者として対応しDamage Control Surgeryを含むAcute Care Surgeryを実践しており、REBOAやアブセラも積極的に活用しています。
また当科の強みとして、当科集中治療医による質の高い外傷蘇生(病着前準備やクリオプレシピテートを含む大量輸血プロトコール、呼吸循環管理など)、および引き続くICUにおける高度な集中治療(急性血液浄化法や栄養代謝管理など)により、重症外傷患者さんの救命と社会復帰を目指しています。

「愛知県重症外傷
センター」への挑戦

当センターは令和5年1月より、愛知県重症外傷センター試行病院(県内2か所)に指定され、外傷ショック患者のさらなる救命率向上に挑戦します。
複数の外傷外科医が常時緊急手術に対応するだけでなく、ドクターヘリによる病院前診療や、集中治療医や各科専門医そしてコメディカルが”ワンチーム”となってシームレスな診療を展開し、患者さんの救命と社会復帰につなげる体制が当院の最大の強みです。
全国の外傷外科医、集中治療医の皆さん、愛知医大救命で一緒に重症外傷診療に取り組みませんか?ともに戦ってくださる仲間を常に募集しています。いつでも気兼ねなくご相談ください!

ハイブリッドERの導入

当センターでは令和5年度よりハイブリッドERを導入いたしました(11月より順次運用開始)。これにより、一刻を争う外傷の出血性ショック等に対し患者さんを初療室から移動することなく、CT検査や外科的止血術、IVR等の根本止血術を実施することが出来、さらなる救命率の向上に寄与することが期待されます。また専門各科との連携により心肺停止患者へのECPR(体外循環式心肺蘇生)や急性期脳卒中に対するカテーテル治療、骨折の透視下整復固定など、様々な診療場面での活用も期待されます。

外傷チーム診療体制
向上へ向けた取り組み

重症外傷にチーム診療で対応するには、医師と看護師だけでなくコメディカルも含めた多職種が治療戦略や戦術に対する統一認識をもってあたることが必要不可欠です。当センターでは、令和3年4月より毎月1回程度、定例の多職種勉強会を開催しています。ミニレクチャーや動画による直近症例の振り返り、シミュレーションなどを通じてチーム診療体制の向上に取り組んでいます。
令和4年2月には愛知県内外の施設をオンラインでつなぎ多施設合同カンファレンスを開催し、施設紹介や症例提示、ディスカッションを通じて地域を巻き込んだ診療体制の充実にも取り組んでいます。
令和6年度には中部地域における外傷初期診療コース(JATEC)の開催への参画を予定しています。

救急・外傷外科医
(Acute Care Surgeon)
を目指す方へ

当センターは愛知県有数の外傷症例数で、特に体幹部外傷症例が多いのが特長です。ドクターヘリによる病院前診療、外傷蘇生、緊急手術、集中治療から外来までシームレスでダイナミックな外傷診療を行い、患者さんの自宅退院を目指して日々奮闘しています。
重症外傷による循環動態不安定な患者に対して、出血に対する外科的止血と汚染のコントロールを目標に日々訓練しています。救急外来でのDamage Control Surgeryから手術室での根本手術まで、以下のような手術を行っております。

胸部外傷で必要であれば、左開胸からの大動脈遮断、クラムシェル開胸、心嚢切開、心修復、肺門遮断など。緊急開腹の場合はプリングル遮断、肝臓パッキング、脾門部遮断、脾摘出、腸管切除、ストマ造設、腎門部遮断、腎臓摘出など。一時閉腹ではアブセラを積極的に使用しています。
術前からの外傷蘇生、術後の外傷集中治療も当科集中治療医とともに行うため、Acute Care Surgeonとして万遍なく研鑽、経験を積むことが出来ます。
スタッフは日本外科学会ATOMコースや厚労省外傷外科医養成研修などの外部研修にも積極的に参加しており、令和5年度からは東海地方初となる「献体による外傷手術臨床解剖学的研究会(C-BEST)」を開催しこの地域でのAcute Care Surgeonの育成に取り組んでいます。

献体による外傷手術臨床解剖学的研究会(C-BEST)

救急専門医・外科専門医 
ダブルボード研修

救急領域カリキュラム制に対応。
外科専門医研修終了後、救急科研修。
救急科研修を中断して外科研修することも可能。